スイングバイIPOの潮流
スイングバイIPOの定義
スイングバイIPOとは、スタートアップが一度大企業の傘下に入り、その支援を受けて成長した後に独立してIPO(新規株式公開)を目指す成長戦略です。この手法は、宇宙探査機が惑星の重力を利用して加速する「スイングバイ」技術に由来しています。スタートアップが大企業の資金力や信用力、販売網を活用して急成長を遂げる様子を表しています。
スイングバイIPOが生まれた過程
スイングバイIPOという概念は、KDDIがIoTプラットフォームを提供するソラコムを買収した際に生まれました。ソラコムの玉川憲社長が、KDDIの高橋誠社長にIPOを含めた成長戦略を相談した際、外部からの見え方をポジティブにするために「スイングバイ」という言葉を提案し、採用されました。
スイングバイIPOの具体例
スイングバイIPOのメリット・デメリット
メリット
デメリット
スイングバイIPOの留意点
スイングバイIPOは、スタートアップが大企業の支援を受けて成長し、最終的に独立上場を果たす新しい成長モデルとして注目されています。
スイングバイIPOのメリットを活かすための検討事項
1. 大企業との戦略的提携
スイングバイIPOの成功には、大企業との戦略的な提携が不可欠です。大企業の資金力、信用力、販売網などのリソースを活用することで、スタートアップは急速に成長できます。提携先の大企業が提供するリソースを最大限に活用するための具体的な計画を立てることが重要です。
2. 明確な成長戦略とビジョン
大企業の支援を受ける際には、スタートアップ自身が明確な成長戦略とビジョンを持つことが求められます。これにより、提携先の大企業と共通の目標に向かって進むことができ、効果的な支援を受けることができます。
3. ガバナンスの確保
スイングバイIPOでは、親会社と子会社の利益相反やガバナンスの問題が発生する可能性があります。これを防ぐために、透明性の高い経営とガバナンス体制の確立が必要です。特に、親子上場に伴うガバナンスの問題を解決するための具体的な対策を講じることが重要です。
4. 資金調達の計画
大企業の支援を受けつつ、必要な資金をタイムリーに調達するための計画を立て、資金調達の柔軟性を活かすことが重要です。これにより、成長のための資金を確保しやすくなります。なお、スイングバイIPOを目指す場合、エクイティ資金調達の自由度が下がることがあります。これに対して、デットでカバーするなどの対策が必要です。
5. 市場信頼の獲得
大企業の子会社としての信用力を活用し、取引先や顧客からの信頼を獲得することが重要です。市場での信頼を高めるための具体的な施策を講じることで、ビジネスの拡大が容易になります。
6. 上場準備の効率化
大企業のノウハウを活用して、IPO準備を効率的に進めることができます。上場に向けた準備をスムーズに進めるための具体的な計画を立て、必要な手続きを迅速に行うことが重要です。
7. 持分比率の管理
持分比率の管理: IPO時の持分比率を適切に管理し、関連当事者取引を早期に排除することが重要です。これにより、IPOの準備がスムーズに進行します。
留意点
1. デューデリジェンスの徹底
2. 経営陣と従業員の評価
3. ガバナンスと統合計画
4. 資本政策と投資戦略
5. リスク管理と法的対応
6. 経営陣と従業員の確保
7. VCとのコミュニケーション
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VCとのコミュニケーションを強化し、アップサイドを求めるVCとバランスを取ることが重要です。
Yutoriの事例分析
Yutoriは、アパレルD2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)企業として、創業からわずか5年で東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。その上場までの資本政策について、以下のポイントが重要です。
上場までの資本政策

1. 初期資金調達と成長
2. VCおよびCVCからの資金調達
3. スイングバイIPOの戦略
4. 上場準備とIPO
ZOZOとの関係性
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上場前は51%を保有し、株主間契約を締結していましたが(重要事項の事前承認、事後通知等が規定されております)。上場後は株主間契約は終了いたします。
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上場後、ZOZOの保有比率は30%未満(24%)となり、関連会社となる予定です。
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取締役1名はZOZOの方を受け入れます。出向契約は今後も原則として行いません。
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関連当事者取引は、合理性等を確認の上、取締役会の決議事項としております。
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販売チャネルは、ZOZOが約3割を占めております。今後は自社ECサイト強化により比率を低減する予定です。



引用
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https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/connect/ipo/202311242101.pdf
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